2020年9月18日金曜日

FreeNAS 11.3をESXiにインストールしてiSCSIストレージを構築する

3年前にFreeNAS 9.10を使ってiSCSIストレージをESXi上に構築する方法を記事にした。

3年も経ったことによってFreeNASのバージョンは11.3と2つもメジャーバージョンアップしている。また、自宅のiSCSIストレージはQNAPのNASを利用しているが、管理GUIの動作が重く検証作業に影響が出ていることから、今回、FreeNAS 11.3にてiSCSIストレージを構築しなおすことにした。

FreeNASのダウンロード

FreeNASは以下から最新版をダウンロードできる。770MBほどの容量となる。

ハードウェア要件は以下の通りとなる。メモリの最低8GBというところがハードルが高くて躊躇したが、8GB以下のメモリでもインストールすることは可能なので検証用途なので今回は4GBでインストールすることにした。

  • CPU : 64bitプロセッサ
  • メモリ : 最低8GB
  • インストールディスク容量 : 最低8GB

FreeNASのインストール

FreeNASをインストールするための仮想マシンは、以下の設定にて作成する。この設定は最小構成以下の設定であり、安定した稼働を求めるのであれば、メモリは8GB以上にする必要があるので注意すること。

  • ゲストOSファミリ : その他
  • ゲストOSのバージョン : FreeBSD 11 (64ビット)
  • CPU : 2コア
  • メモリ : 4096MB
  • ハードディスク : 8GB

FreeNASの初期設定

1. OSインストール

FreeNASのISOからブートさせると、シンプルなインストール画面が表示されるので、「Install/Upgrade」を選択する。

RAMが8GB以下だと以下の通り警告が表示されるが、そのまま「Yes」を選択してインストールを進めることができる。

Boot Modeは「Boot via BIOS」を選択する。

2. インストール完了後、再起動

「Reboot System」を選択して再起動を行う。

3. IPアドレス設定

再起動を行うとConsole Setup画面が表示される。デフォルトではDHCPが有効になっているが、毎回IPアドレスが変わると扱いづらいので、固定IPアドレスとする設定を行う。

「1」を選択し、以下の通り設定する。

  • Select an interface : 1
  • Remove the current settings of this interface? : n
  • Configure interface for DHCP? (y/n) : n
  • Configure IPv4? (y/n) : y
  • Interface name : 任意の名前
  • IPv4 Address : 192.168.11.14/24
  • Configure IPv6? (y/n) : n

4. デフォルトゲートウェイ設定

引き続きConsole Setup画面にて「4」を選択し、以下の通り設定する。

  • Configure IPv4 Default Route? (y/n) : y
  • IPv4 Default Route : 192.168.11.31
  • Configure IPv4 Default Route? (y/n) : n

以上でConsole Setup画面は終了となる。引き続き、Webの管理GUIで作業を行う。

5. 管理GUIログイン

ブラウザにて以下のアドレスを入力する。

  • http://<設定したIPアドレス>/

管理GUIでは以下のユーザでログインする。

  • ユーザ : root
  • パスワード : インストール時に設定したパスワード

6. タイムゾーンの設定

デフォルトではタイムゾーンが日本時間になっていない。「System / General」にて「Asia/Tokyo」に変更しておこう。

7. NTPの設定

「System / NTP Servers」にてNTPサーバを設定する。デフォルトでは0.freebsd.pool.ntp.orgなどが設定されているが、環境に応じて変更しておこう。

8. ホスト名の変更

「Network / Global Configuration」にてホスト名を変更する。ドメイン名は不要であったとしても空白で設定はできないので、何かしら設定をしておくこと。

プールの作成

この段階では、FreeNASのOSインストール領域しかなく、データ領域がないため、仮想マシンに仮想ディスクの追加を行ったのち、「プール」と呼ばれるデータ保存領域を作成する。

1. 仮想マシンにディスクを追加

これは通常の手順でVMware Host Clientなどから仮想マシンにハードディスクを追加すれば問題ない。今回は100GBのディスクを追加した。

2. プールを作成

「Storage / Pools」にてプールを新規作成する。先ほど追加したディスクが「da1」という名前で選択できるようになっているので、プールのディスクとして選択し、プールを作成する。

なお、ディスク1本で作成することになるので、「Stripe (=RAID 0)」によるプールとなる。仮想環境なのでRAID 1などで冗長化する必要はないので、Stripeの設定で特に問題はない。

FreeNASのiSCSI設定

引き続き、FreeNASでiSCSIの設定を行う。

1. ポータルを作成

「Sharing / iSCSI / Portals」にて以下の通り、ポータルを作成する。

設定項目 設定値
Discriptsion portal-01
IP Address 192.168.11.14

2. 接続可能とするイニシエータグループを作成

「Sharingi / SCSI / Initiators」にてターゲットに接続可能とするイニシエータグループを作成する。今回は特に接続制限を設けないため、「Allow All Initiators」とした。

設定項目 設定値
Allow All Initiators チェック

3. ターゲットの作成

「Sharingi / SCSI / Targets」にてターゲットを作成する。ターゲットには先ほど設定したポータルとイニシエータグループを設定する。

設定項目 設定値
Target Name target-01
Portal Group ID 1 (potral-01)
Initiator Group ID 1 (ALL Initiators Allowed)

4. エクステント (提供するディスク) の作成

「Sharingi / SCSI / Extents」にてエクステントを作成する。エクステントとは、iSCSIにて提供するディスク領域の設定となる。今回は、iSCSIのエクステントとして「/mnt/pool-01/extent-01」というファイルを作成する設定とした。

(2020/11/28追記)
「Disable Physical Block Size Reporting」の設定値をチェックしない場合、vCenter ServerやESXiにてボリュームをVMFSやRDMでマウントしようとした際に以下のようなメッセージで失敗するので注意すること。

VMFS データストア データストア名 の作成に失敗しました: 操作に失敗しました。診断レポート: Unable to create Filesystem, please see VMkernel log for more details: Failed to create VMFS on device naa.6589cfc000000f7c96869c6c450b7a8f:1

設定項目 設定値
Extent name extent-01
Extent type File
Path to the extent /mnt/pool-01/extent-01
Extent size 10 GiB
Disable Physical Block Size Reporting チェック

5. ターゲットとエクステントの紐づけを作成

「Sharingi / SCSI / Associated Targets」にてターゲットとエクステントの紐づけを作成する。

設定項目 設定値
Target target-01
LUN ID 1
Extent extent-01

6. iSCSIサービスの起動

FreeNASはデフォルトではiSCSIのサービスが起動していないため、「Services」にて起動させる。再起動時にも自動でサービスが起動するよう、「Start Automatically」も有効にしておく。

ESXiにてiSCSIターゲットに接続

最後に動作確認として、ESXiにてiSCSIターゲットに接続し、LUNが問題なく認識するか確認してみよう。

1. ESXiでソフトウェアiSCSIを設定

ソフトウェアiSCSIの設定にて、以下を追加する。

  • 動的ターゲットの追加 : 192.168.11.14 (FreeNASのIPアドレス)

2. FreeNASのLUN表示されることを確認

ストレージデバイス一覧にて、FreeNASのLUNが表示されることを確認する。以下のように「FreeNAS iSCSI Disk」と表示されるLUNがあれば、問題なく認識されている。


まとめ

以上で、FreeNAS 11.3をiSCSIストレージとして構築することができた。メモリが4GBとなり推奨構成よりも少ない環境ではあるが、実際のメモリ使用率は2GB程度となっており、現時点では稼働に問題は発生していないので、検証環境のiSCSIストレージとしては十分に使えそうだ。

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