3年前にFreeNAS 9.10を使ってiSCSIストレージをESXi上に構築する方法を記事にした。
3年も経ったことによってFreeNASのバージョンは11.3と2つもメジャーバージョンアップしている。また、自宅のiSCSIストレージはQNAPのNASを利用しているが、管理GUIの動作が重く検証作業に影響が出ていることから、今回、FreeNAS 11.3にてiSCSIストレージを構築しなおすことにした。
FreeNASのダウンロード
FreeNASは以下から最新版をダウンロードできる。770MBほどの容量となる。
ハードウェア要件は以下の通りとなる。メモリの最低8GBというところがハードルが高くて躊躇したが、8GB以下のメモリでもインストールすることは可能なので検証用途なので今回は4GBでインストールすることにした。
- CPU : 64bitプロセッサ
- メモリ : 最低8GB
- インストールディスク容量 : 最低8GB
FreeNASのインストール
FreeNASをインストールするための仮想マシンは、以下の設定にて作成する。この設定は最小構成以下の設定であり、安定した稼働を求めるのであれば、メモリは8GB以上にする必要があるので注意すること。
- ゲストOSファミリ : その他
- ゲストOSのバージョン : FreeBSD 11 (64ビット)
- CPU : 2コア
- メモリ : 4096MB
- ハードディスク : 8GB
FreeNASの初期設定
1. OSインストール
FreeNASのISOからブートさせると、シンプルなインストール画面が表示されるので、「Install/Upgrade」を選択する。
RAMが8GB以下だと以下の通り警告が表示されるが、そのまま「Yes」を選択してインストールを進めることができる。
Boot Modeは「Boot via BIOS」を選択する。
2. インストール完了後、再起動
「Reboot System」を選択して再起動を行う。
3. IPアドレス設定
再起動を行うとConsole Setup画面が表示される。デフォルトではDHCPが有効になっているが、毎回IPアドレスが変わると扱いづらいので、固定IPアドレスとする設定を行う。
「1」を選択し、以下の通り設定する。
- Select an interface : 1
- Remove the current settings of this interface? : n
- Configure interface for DHCP? (y/n) : n
- Configure IPv4? (y/n) : y
- Interface name : 任意の名前
- IPv4 Address : 192.168.11.14/24
- Configure IPv6? (y/n) : n
4. デフォルトゲートウェイ設定
引き続きConsole Setup画面にて「4」を選択し、以下の通り設定する。
- Configure IPv4 Default Route? (y/n) : y
- IPv4 Default Route : 192.168.11.31
- Configure IPv4 Default Route? (y/n) : n
以上でConsole Setup画面は終了となる。引き続き、Webの管理GUIで作業を行う。
5. 管理GUIログイン
ブラウザにて以下のアドレスを入力する。
- http://<設定したIPアドレス>/
管理GUIでは以下のユーザでログインする。
- ユーザ : root
- パスワード : インストール時に設定したパスワード
6. タイムゾーンの設定
デフォルトではタイムゾーンが日本時間になっていない。「System / General」にて「Asia/Tokyo」に変更しておこう。
7. NTPの設定
「System / NTP Servers」にてNTPサーバを設定する。デフォルトでは0.freebsd.pool.ntp.orgなどが設定されているが、環境に応じて変更しておこう。
8. ホスト名の変更
「Network / Global Configuration」にてホスト名を変更する。ドメイン名は不要であったとしても空白で設定はできないので、何かしら設定をしておくこと。
プールの作成
この段階では、FreeNASのOSインストール領域しかなく、データ領域がないため、仮想マシンに仮想ディスクの追加を行ったのち、「プール」と呼ばれるデータ保存領域を作成する。
1. 仮想マシンにディスクを追加
これは通常の手順でVMware Host Clientなどから仮想マシンにハードディスクを追加すれば問題ない。今回は100GBのディスクを追加した。
2. プールを作成
「Storage / Pools」にてプールを新規作成する。先ほど追加したディスクが「da1」という名前で選択できるようになっているので、プールのディスクとして選択し、プールを作成する。
なお、ディスク1本で作成することになるので、「Stripe (=RAID 0)」によるプールとなる。仮想環境なのでRAID 1などで冗長化する必要はないので、Stripeの設定で特に問題はない。
FreeNASのiSCSI設定
引き続き、FreeNASでiSCSIの設定を行う。
1. ポータルを作成
「Sharing / iSCSI / Portals」にて以下の通り、ポータルを作成する。
設定項目 | 設定値 |
---|---|
Discriptsion | portal-01 |
IP Address | 192.168.11.14 |
2. 接続可能とするイニシエータグループを作成
「Sharingi / SCSI / Initiators」にてターゲットに接続可能とするイニシエータグループを作成する。今回は特に接続制限を設けないため、「Allow All Initiators」とした。
設定項目 | 設定値 |
---|---|
Allow All Initiators | チェック |
3. ターゲットの作成
「Sharingi / SCSI / Targets」にてターゲットを作成する。ターゲットには先ほど設定したポータルとイニシエータグループを設定する。
設定項目 | 設定値 |
---|---|
Target Name | target-01 |
Portal Group ID | 1 (potral-01) |
Initiator Group ID | 1 (ALL Initiators Allowed) |
4. エクステント (提供するディスク) の作成
「Sharingi / SCSI / Extents」にてエクステントを作成する。エクステントとは、iSCSIにて提供するディスク領域の設定となる。今回は、iSCSIのエクステントとして「/mnt/pool-01/extent-01」というファイルを作成する設定とした。
(2020/11/28追記)
「Disable Physical Block Size Reporting」の設定値をチェックしない場合、vCenter ServerやESXiにてボリュームをVMFSやRDMでマウントしようとした際に以下のようなメッセージで失敗するので注意すること。
VMFS データストア データストア名 の作成に失敗しました: 操作に失敗しました。診断レポート: Unable to create Filesystem, please see VMkernel log for more details: Failed to create VMFS on device naa.6589cfc000000f7c96869c6c450b7a8f:1
設定項目 | 設定値 |
---|---|
Extent name | extent-01 |
Extent type | File |
Path to the extent | /mnt/pool-01/extent-01 |
Extent size | 10 GiB |
Disable Physical Block Size Reporting | チェック |
5. ターゲットとエクステントの紐づけを作成
「Sharingi / SCSI / Associated Targets」にてターゲットとエクステントの紐づけを作成する。
設定項目 | 設定値 |
---|---|
Target | target-01 |
LUN ID | 1 |
Extent | extent-01 |
6. iSCSIサービスの起動
FreeNASはデフォルトではiSCSIのサービスが起動していないため、「Services」にて起動させる。再起動時にも自動でサービスが起動するよう、「Start Automatically」も有効にしておく。
ESXiにてiSCSIターゲットに接続
最後に動作確認として、ESXiにてiSCSIターゲットに接続し、LUNが問題なく認識するか確認してみよう。
1. ESXiでソフトウェアiSCSIを設定
ソフトウェアiSCSIの設定にて、以下を追加する。
- 動的ターゲットの追加 : 192.168.11.14 (FreeNASのIPアドレス)
2. FreeNASのLUN表示されることを確認
ストレージデバイス一覧にて、FreeNASのLUNが表示されることを確認する。以下のように「FreeNAS iSCSI Disk」と表示されるLUNがあれば、問題なく認識されている。
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