vCenter Server Appliance (以下、vCSA) では、バックアップファイルを外部のファイルサーバなどに出力する機能が備わっており、VMwareとしても推奨するバックアップ手法となる。
今回、実際にバックアップファイルを出力しリストアを実施してみた。本記事では、vCSAのバックアップをCIFSファイルサーバに出力し、出力したバックアップファイルからリストアする手順を記載する。
環境
環境としてはvSphere 7.0を用いる。2台のvCSAを構築して拡張リンクモードで構成し、片方のvCSAをリストアしても、拡張リンクモード含め問題なく復旧できることを確認する。
- vCenter Server : 7.0 Update 1d
- ESXi : 7.0 Update 1c
- CIFSファイルサーバ : QNAP TS-231P
バックアップ手順
1. アプライアンス管理画面にログイン
vCSAのバックアップはvSphere Clientではなく、vCSAのアプライアンス管理画面 (ポート番号5480) にて行う。
https://[vCSAのIPアドレス]:5480/
アプライアンス管理画面は、rootまたはSSO管理者 (例えばAdministrator@vsphere.local) でログインする。
2. バックアップを取得
アプライアンス管理画面のメニューより「バックアップ」から「今すぐバックアップ」ボタンを選択すると、1回限りのバックアップを取得できる。
なお、スケジュールを設定して定期的にバックアップを取得することも可能となる。通常は、日次などでバックアップ取得するようスケジュール設定すべきだろう。
バックアップは以下の設定項目がある。以下に各説明項目を記載する。
設定項目 | 説明 |
---|---|
バックアップの場所 | バックアップの場所を指定する。[プロトコル名]://[バックアップサーバのIPアドレス]/[フォルダ]といった形式で指定する。対応するプロトコルは、FTPS、HTTPS、SFTP、FTP、NFS、SMB、HTTPを指定できる。今回はSMBを指定する。 |
バックアップサーバの認証情報 | バックアップファイル保存に必要な権限を持つユーザ、パスワードを入力する。 |
暗号化バックアップ | バックアップファイルを暗号化する場合はパスワードを設定する。 |
DBの健全性チェック | バックアップ時にDBの健全性チェックを行う場合はチェックする。デフォルトは有効であるため、特に理由がなければ有効で問題ない。 |
データ | データに統計情報やイベントを含める場合はチェックする。サイズを削減したいなどの理由がある場合のみ無効にすればよいだろう。 |
3. バックアップ完了まで待機
バックアップ完了まで待機する。
私の環境のvCSAはほぼ新規構築状態となるため、バックアップファイルは約240MBとなり、バックアップは1分で完了した。
リストア手順
1. ESXiにログインしvCSAを登録解除
vCSAのリストア時に同じESXi上に元のvCSAが存在する場合、仮想マシン名が重複することにより、リストア時にエラーとなる。そのため、事前にESXiのVMware Host Clientにログインし、vCSAのシャットダウンとESXiからの登録解除を実施しておこう。
2. vCSAのインストーラよりリストアを開始
vCSAのISOイメージに含まれるinstaller.exe
を起動しvCSAのインストーラを起動すると、「リストア」の選択項目があるため、それを選択する。
リストアは以下の設定項目がある。以下に各説明項目を記載する。
設定項目 | 説明 |
---|---|
バックアップの詳細を入力 | ここではリストア時と同様に、バックアップサーバのIPアドレスと認証情報を設定する。 |
vCenter Server のデプロイ ターゲット | vCSAリストア先のESXiのIPアドレスを設定する。 |
ターゲット vCenter Server 仮想マシンのセットアップ | リストアするvCSAの仮想マシン名とrootパスワードを設定する。通常は元のvCSAと同一の設定で問題ないだろう。なお、このタイミングで仮想マシン名の重複チェックがされるため、前段の手順で実施したvCSAの登録解除は必ず実施しておく必要がある。もし重複する場合は、「ターゲットに同じ名前の仮想マシンまたはテンプレートが存在するかどうかを確認中に問題が発生しました」のエラーでインストールを進めることができない。 |
デプロイ サイズの選択 | 元のvCSAのサイズを選択すれば問題ない。 |
データストアの選択 | vCSAが稼働するだけの十分な空き容量があるデータストアを選択する。 |
ネットワークの設定 | 元のvCSAのIPアドレス設定をすれば問題ない。 |
上記設定完了後、vCSAのデプロイが開始する。
3. 展開したvCSAにてリストアを実施
ここまではvCSAの通常のインストールウィザードと同様となるが、ここから先がリストアの場合は異なる。
以下に設定項目を記載する。
設定項目 | 説明 |
---|---|
バックアップの詳細 | ここは前述した手順で指定した情報から変更ができないが、バックアップに暗号化パスワードを設定していた場合は、解除パスワードを指定する。 |
Single Sign-On 構成 | 元のvCSAのSSO管理者のユーザ名とパスワードを入力する。通常はAdministrator@vsphere.local を選ぶことになるだろう。 |
上記設定完了後、リストアが開始する。
4. リストア完了まで待機
リストア完了まで待機する。リストア状況の進捗は表示されるが、97%になってから少し時間を要するので、気長に完了を待つこと。とはいっても、私の環境では、10分程度で完了した。
問題なく完了すると、「このvCenter Serverは正常にリストアされました」とメッセージが表示される。
5. リストア後の確認
リストア後、再度vSphere Clientでログインしてみよう。
なお、私の環境ではなぜか404のエラーでうまくログインできない事象が発生したが、一度ブラウザのキャッシュクリアやブラウザの落とし上げをしたり、少し時間をおいてからログインを試みると正常にログインできた。
ログインに成功すると、以下図の通り一台のvCSAは「親 (実体) なし」で表示され、リストアしたvCSAは末尾に「(1)」が名前に付与されていることがわかる。元のvCSAの情報がゴミとして残ってしまい「親 (実体) なし」となっているようだ。これは次の手順でインベントリから削除すれば問題ない。
また、左側のツリーには拡張リンクモードしている2台のvCSAが存在しており、リストアしても問題なく拡張リンクモードの構成は維持されていることが確認できる。
6. vCSAの仮想マシン名を修正
「親 (実体) なし」のvCSAは不要となるため、「インベントリから削除」する。インベントリから削除したのち、リストアしたvCSAを正しい名前に修正する。
以上で、vCSAのバックアップファイルからのリストアは完了となる。
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