2020年10月31日土曜日

ESXi単体で重複するデータストアに「新しい署名の割り当て」を行いマウントさせる方法

近年のストレージは、スナップショット機能が標準で搭載されており、バックアップを瞬時に取得することができ、さらに取得したスナップショットからボリュームをコピーすることもできる。

この機能を使うことで、ESXiにストレージのスナップショットからコピーしたボリュームを別のデータストアとしてマウントして、データストアの中の一部の仮想マシンやvmdkファイルのみをコピーしなおしてリストアするといった使い方が可能となる。

ただし、スナップショットからコピーしたデータストアは、データストア名やUUIDが重複することから、そのままではESXiにマウントすることができず、「新しい署名の割り当て」が必要となる。この作業はvCenter ServerのGUI (vSphere Client) であれば実施可能であるが、ESXiのGUI (VMware Host Client) では実施することができない。

ただし、ESXi単体であっても、CLIを使えば実施可能であるため、今回、ESXi Shellを使用して、スナップショットからコピーしたデータストアを別のデータストアとしてマウントしてみることにする。

手順

1. ストレージにてスナップショットからコピーしたボリュームを作成

まずはストレージ側でスナップショットを取得し、取得したスナップショットからボリュームを作成する。これはストレージによって手順が異なるので、手順の詳細は割愛するが、参考情報として、過去QNAPとFreeNASで実施した記事を以下に記載する。

ストレージ 参考記事
QANP QNAP NASのiSCSIボリュームをクローンして別のVMFSデータストアとしてマウントさせる手順
FreeNAS FreeNASのスナップショットからコピーしたiSCSIボリュームを作成する手順

2. VMware Host ClientにてVMFSをスキャン

VMware Host Clientにログインし、左メニューの「ストレージ」→「デバイス」タブを選択し、「再スキャン」を選択する。再スキャン後、コピーしたデータストアがデバイスとして表示されることを確認しておく。

3. SSHでESXiにログイン

次に、SSHにてESXiにログインする。デフォルトではSSHが無効となっていることから、無効になっている場合は有効にしておくこと。

4. VMFS一覧を確認

以下コマンドにて、作業実施前にVMFSの一覧を確認しておく。今回は「iscsi_fnas_01」のデータストアをコピーしたボリュームをマウントする。

# esxcli storage filesystem list
Mount Point                                        Volume Name                                 UUID                                 Mounted  Type           Size         Free
-------------------------------------------------  ------------------------------------------  -----------------------------------  -------  ------  -----------  -----------
/vmfs/volumes/5f4e587d-2e195734-cfd3-dca63269a366  datastore1                                  5f4e587d-2e195734-cfd3-dca63269a366     true  VMFS-6  45634027520  44125126656
/vmfs/volumes/5f5d5450-787693d8-d588-000c29d16ed8  iscsi_fnas_01                               5f5d5450-787693d8-d588-000c29d16ed8     true  VMFS-6  53418655744  11974737920
/vmfs/volumes/5f4e587a-25e427e9-4e0d-dca63269a366  OSDATA-5f4e587a-25e427e9-4e0d-dca63269a366  5f4e587a-25e427e9-4e0d-dca63269a366     true  VMFS-L   8321499136   5568987136
/vmfs/volumes/794a74c9-cb43f6a4-f0b4-d9e894c50593  BOOTBANK1                                   794a74c9-cb43f6a4-f0b4-d9e894c50593     true  vfat     4293591040   4168286208
/vmfs/volumes/1ee2ff72-75413af3-738d-850e8ab0de94  BOOTBANK2                                   1ee2ff72-75413af3-738d-850e8ab0de94     true  vfat     4293591040   4293525504

5. コピーしたVMFSを確認

以下コマンドにて、スナップショットからコピーしたVMFS (署名が重複するVMFS) を確認することができる。「iscsi_fnas_01」のデータストアが表示されることがわかる。
※なお、本コマンドは結果が表示されるまで少々時間を要する。

# esxcli storage vmfs snapshot list
5f5d5450-787693d8-d588-000c29d16ed8
   Volume Name: iscsi_fnas_01
   VMFS UUID: 5f5d5450-787693d8-d588-000c29d16ed8
   Can mount: false
   Reason for un-mountability: the original volume is still online
   Can resignature: true
   Reason for non-resignaturability:
   Unresolved Extent Count: 1

6. コピーしたVMFSに新しい署名の割り当て

esxcli storage vmfs snapshot resignatureコマンドで「新しい署名の割り当て」を行う。

# esxcli storage vmfs snapshot resignature -l iscsi_fnas_01

7. 再度VMFS一覧を確認

再度VMFSの一覧を確認する。「snap-XXXXXXXX-iscsi_fnas_01」という名前で新たにデータストアを認識していることがわかる。

# esxcli storage filesystem list
Mount Point                                        Volume Name                                 UUID                                 Mounted  Type           Size         Free
-------------------------------------------------  ------------------------------------------  -----------------------------------  -------  ------  -----------  -----------
/vmfs/volumes/5f4e587d-2e195734-cfd3-dca63269a366  datastore1                                  5f4e587d-2e195734-cfd3-dca63269a366     true  VMFS-6  45634027520  44125126656
/vmfs/volumes/5f5d5450-787693d8-d588-000c29d16ed8  iscsi_fnas_01                               5f5d5450-787693d8-d588-000c29d16ed8     true  VMFS-6  53418655744  11974737920
/vmfs/volumes/5f93c0b7-47026233-4f95-dca63269a366  snap-53543aa8-iscsi_fnas_01                 5f93c0b7-47026233-4f95-dca63269a366     true  VMFS-6  53418655744  11991515136
/vmfs/volumes/5f4e587a-25e427e9-4e0d-dca63269a366  OSDATA-5f4e587a-25e427e9-4e0d-dca63269a366  5f4e587a-25e427e9-4e0d-dca63269a366     true  VMFS-L   8321499136   5568987136
/vmfs/volumes/794a74c9-cb43f6a4-f0b4-d9e894c50593  BOOTBANK1                                   794a74c9-cb43f6a4-f0b4-d9e894c50593     true  vfat     4293591040   4168286208
/vmfs/volumes/1ee2ff72-75413af3-738d-850e8ab0de94  BOOTBANK2                                   1ee2ff72-75413af3-738d-850e8ab0de94     true  vfat     4293591040   4293525504

VMware Host Clientでも「更新」ボタンを押すことでコピーしたデータストアが表示されるようになる。

以上で作業は完了となる。

参考

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