Red Hat Enterprise Linux (RHEL) のダウンストリーム版のディストリビューションであるCentOS 8は2021年末でサポートが終了し、以降はRHELのアップストリーム版であるCentOS Streamのみがサポートされることが発表された。
当初、CentOS 8は2029年までサポートされる予定であったが、突然サポート期間が短縮されてしまったことにより、CentOS 8を利用しているユーザは、早急にCentOS StreamやRHELへの移行を検討する必要が生じている。
そんな中、今までのCentOSと同様の位置付けのRHELダウンストリーム版のディストリビューションの開発がいくつかのプロジェクトで進められており、「Rocky Linux」もそのディストリビューションの1つである。
Rocky Linuxは2021/4/30にバージョン8.3 RC版がリリースされ、2021/6/4にバージョン8.4 RC版、そしてついに2021/6/21にバージョン8.4 GA版がリリースされた。本記事では、実際にRocky LinuxをESXi上の仮想マシンとしてインストールしてみた。
環境
- ESXi : 6.7 Update 3
- OS : Rocky Linux 8.4
Rocky Linuxインストール手順
1. Rocky LinuxのISOイメージをダウンロード
Rocky LinuxのISOイメージは、以下URLからダウンロードできる。
RHEL 8やCentOS 8と同様に、DVDのISOイメージ (Rocky-8.X-x86_64-dvd1.iso
) は8.6GBもあるため、容量が大きすぎて困る場合は、minimal (Rocky-8.X-x86_64-minimal.iso
) をダウンロードし、必要なパッケージは別途インストールしても問題ない。
今回は、minimalをダウンロードしてインストールを行う。
2. ESXiにて仮想マシンを作成
ESXiの仮想マシンは以下設定にて作成する。
- ゲストOSのファミリ : Linux
- ゲストOSのバージョン : その他の Linux 4.x 以降 (64 ビット)
- [仮想マシンのオプション] → [UEFIセキュアブートの有効化] : チェックを外す
CentOS 8と異なり「UEFIセキュアブートの有効化」のチェックが有効のままではインストールが開始できないので、必ずチェックを外すこと。
※【注意】Rocky Linux 8.5以降はSecure Bootに対応したため本手順は不要。
もし、チェックをしたままだと「EFI VMware Virtual SATA CDROM Drive (0.0)… unsuccessful.」のメッセージが表示され、ISOイメージからの起動ができない。なお、OSインストール後に有効に戻してもRocky Linuxは起動できないことを確認している。
3. RHELやCentOSと同様にインストール
ISOイメージからブートしてしまえば、RHELやCentOSでおなじみのインストールウィザードが開始される。最低限、言語設定、時刻と日付 (タイムゾーン)、rootパスワード、インストール先を設定し、インストールを開始する。なお、Rocky Linuxでは「ソフトウェアの選択」がデフォルトでは「サーバー」になっている。少しでも不要なパッケージをインストールしたくない場合は、「最小限のインストール」に変更すること。
4. インストール後、ログイン
インストール後、仮想コンソールを使ってrootでログインし、nmtui
などを使ってネットワークの設定を行う。
なお、redhat-release
を確認したところ、以下の通り「Rocky Linux 8.4」となっていることが確認できた。
# cat /etc/redhat-release
Rocky Linux release 8.4 (Green Obsidian)
5. open-vm-toolsをインストール
ネットワークの設定を行いインターネットに接続できるようになったら、dnf
にてopen-vm-toolsをインストールする。
# dnf install open-vm-tools -y
Rocky Linux 8 - AppStream 3.7 MB/s | 6.7 MB 00:01
Rocky Linux 8 - BaseOS 5.5 MB/s | 2.5 MB 00:00
Rocky Linux 8 - Extras 2.8 kB/s | 1.6 kB 00:00
依存関係が解決しました。
================================================================================
パッケージ Arch バージョン リポジトリー サイズ
================================================================================
インストール:
open-vm-tools x86_64 11.1.0-2.el8 appstream 716 k
依存関係のインストール:
fuse x86_64 2.9.7-12.el8 baseos 81 k
fuse-common x86_64 3.2.1-12.el8 baseos 20 k
libdrm x86_64 2.4.101-1.el8 appstream 164 k
libmspack x86_64 0.7-0.3.alpha.el8.4 appstream 69 k
libpciaccess x86_64 0.14-1.el8 baseos 31 k
libtool-ltdl x86_64 2.4.6-25.el8 baseos 57 k
libxslt x86_64 1.1.32-5.el8 baseos 248 k
pciutils x86_64 3.6.4-2.el8 baseos 101 k
tar x86_64 2:1.30-5.el8 baseos 837 k
xmlsec1 x86_64 1.2.25-4.el8 appstream 191 k
xmlsec1-openssl x86_64 1.2.25-4.el8 appstream 94 k
トランザクションの概要
================================================================================
インストール 12 パッケージ
ダウンロードサイズの合計: 2.5 M
インストール済みのサイズ: 7.6 M
パッケージのダウンロード:
(1/12): libmspack-0.7-0.3.alpha.el8.4.x86_64.rp 22 MB/s | 69 kB 00:00
(2/12): xmlsec1-1.2.25-4.el8.x86_64.rpm 66 MB/s | 191 kB 00:00
(3/12): xmlsec1-openssl-1.2.25-4.el8.x86_64.rpm 46 MB/s | 94 kB 00:00
(4/12): fuse-2.9.7-12.el8.x86_64.rpm 79 MB/s | 81 kB 00:00
(5/12): open-vm-tools-11.1.0-2.el8.x86_64.rpm 65 MB/s | 716 kB 00:00
(6/12): fuse-common-3.2.1-12.el8.x86_64.rpm 19 MB/s | 20 kB 00:00
(7/12): libpciaccess-0.14-1.el8.x86_64.rpm 31 MB/s | 31 kB 00:00
(8/12): libtool-ltdl-2.4.6-25.el8.x86_64.rpm 55 MB/s | 57 kB 00:00
(9/12): libxslt-1.1.32-5.el8.x86_64.rpm 144 MB/s | 248 kB 00:00
(10/12): libdrm-2.4.101-1.el8.x86_64.rpm 11 MB/s | 164 kB 00:00
(11/12): pciutils-3.6.4-2.el8.x86_64.rpm 9.9 MB/s | 101 kB 00:00
(12/12): tar-1.30-5.el8.x86_64.rpm 21 MB/s | 837 kB 00:00
--------------------------------------------------------------------------------
合計 7.2 MB/s | 2.5 MB 00:00
~(中略)~
インストール済み:
fuse-2.9.7-12.el8.x86_64 fuse-common-3.2.1-12.el8.x86_64
libdrm-2.4.101-1.el8.x86_64 libmspack-0.7-0.3.alpha.el8.4.x86_64
libpciaccess-0.14-1.el8.x86_64 libtool-ltdl-2.4.6-25.el8.x86_64
libxslt-1.1.32-5.el8.x86_64 open-vm-tools-11.1.0-2.el8.x86_64
pciutils-3.6.4-2.el8.x86_64 tar-2:1.30-5.el8.x86_64
xmlsec1-1.2.25-4.el8.x86_64 xmlsec1-openssl-1.2.25-4.el8.x86_64
完了しました!
open-vm-toolsがインストールされると、ESXiでもホスト名やIPアドレスを認識するようになる。
以上でRocky Linuxのインストールが完了となる。
更新履歴
- 2021/05/06 新規作成
- 2021/06/05 Rocky Linux 8.4 RC版のリリースに伴い内容を更新
- 2021/06/22 Rocky Linux 8.4 GA版のリリースに伴い内容を更新
- 2021/11/17 Rocky Linux 8.5 GA版のリリースに伴い内容を更新 (Secure Bootにサポートした旨追記)
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