USB3.0になってから、転送速度が4Gbps (= 500MB/s)となっており、ギガビット以上の転送速度となっている。そのため、USB3.0対応の1000BASE-TのNICが数多く発売されている。
以前、USB NICを直接仮想マシンで認識させて使用する方法を記事にした。
今回は、USB NICを仮想マシンにパススルーするのではなく、「USB Network Native Driver for ESXi」をインストールすることで、直接ESXi本体の物理NICとして認識させる方法を記載する。
環境
認識させる対象のESXiのバージョンは以下の通り。
- ESXi 7.0 (Nested ESXi環境)
接続するUSB NICは、以下2つの異なるチップセットを持つ製品を使って確認した。
▼チップセット : Realtek社の「RTL8153」
▼チップセット : ASIX社の「AX88179」
ESXi 7.0以降はRTL8153のUSB NICを標準で認識する
2021年1月時点での最新のESXiのバージョンは7.0 Update 1となるが、実はESXiは7.0以降からは、特に追加インストール不要でRTL8153のチップセットを持つUSB NICを認識してくれる。
以下、実機でのNIC認識状況となる。見ての通り、cdce
というドライバでNICを認識していることがわかる。
[root@t1071esx7:~] esxcfg-nics -l
Name PCI Driver Link Speed Duplex MAC Address MTU Description
vusb0 Pseudo cdce Up 100Mbps Full a0:ce:c8:0a:2c:e3 1500 Realtek USB 101001000 LAN
オンボードNICがRealtekしかないPC等では、今までESXiのインストールを先に進めることができなかったが、ESXi 7.0以降ではUSB NICを接続しておけば、とりあえずインストールを完了させることができる。
※以下はNICが1つも存在しない場合に出力される「No Network Adapters」のESXiインストール失敗画面となる。
ESXiへのUSB NIC認識手順
1. USBの認識状況を確認
USB NICが正常に認識しているか確認してみる。RTL8153 Gigabit Ethernet Adapter
とAX88179 Gigabit Ethernet
が表示されており、認識は問題ないことが確認できる。
[root@t1017esx7:~] lsusb
Bus 001 Device 001: ID 0e0f:8001 VMware, Inc. Root Hub
Bus 002 Device 001: ID 0e0f:8002 VMware, Inc. Root Hub
Bus 001 Device 002: ID 0e0f:0003 VMware, Inc. Virtual Mouse
Bus 001 Device 003: ID 0e0f:0002 VMware, Inc. Virtual USB Hub
Bus 002 Device 002: ID 0bda:8153 Realtek Semiconductor Corp. RTL8153 Gigabit Ethernet Adapter ★
Bus 002 Device 003: ID 0b95:1790 ASIX Electronics Corp. AX88179 Gigabit Ethernet ★
2. USB NICドライバをダウンロード
以下URLからUSB NICドライバをダウンロードする。
ESXiのバージョンに応じたドライバがダウンロードできるので、同意文にチェックを付けて必要なドライバをダウンロードしよう。
- ESXi 6.7 : ESXi670-VMKUSB-NIC-FLING-39203948-offline_bundle-16780994.zip
- ESXi 7.0 : ESXi700-VMKUSB-NIC-FLING-39035884-component-16770668.zip
- ESXi 7.0 Update1 : ESXi701-VMKUSB-NIC-FLING-40599856-component-17078334.zip
3. ドライバをインストール
Tera Termの「ファイル」→「SSH SCP…」を使用して、/tmpなどにドライバのファイルをアップロードする。アップロードするファイルのサイズは500KB以下なので、容量も気にする必要はない。
その後、以下コマンドでインストールを行う。
esxcli software vib install -d <zipファイルのフルパス>
実行結果は以下の通り。Reboot Required: true
となっているため、再起動が必要となる。
[root@t1017esx7:~] esxcli software vib install -d /tmp/ESXi700-VMKUSB-NIC-FLING-39035884-component-16770668.zip
Installation Result
Message: The update completed successfully, but the system needs to be rebooted for the changes to be effective.
Reboot Required: true
VIBs Installed: VMW_bootbank_vmkusb-nic-fling_2.1-6vmw.700.1.0.39035884
VIBs Removed:
VIBs Skipped:
4. ESXiを再起動
ESXi上の仮想マシンを停止させ、再起動させる。
5. 再起動後のUSB NIC認識確認
再起動後のUSB NICを確認してみる。まず、VMware Host Clientで確認すると、vusb0
及びvusb1
というNICがuether
というドライバにて追加されていることがわかる。
コマンドでも確認してみる。Realtek USB 101001000 LAN
及びASIX Elec. Corp. AX88179
というNICが表示されており、問題なくUSB NICを認識させることに成功した。
[root@t1017esx7:~] esxcfg-nics -l
Name PCI Driver Link Speed Duplex MAC Address MTU Description
vmnic0 0000:0b:00.0 nvmxnet3 Up 10000Mbps Full 00:0c:29:7b:12:ea 1500 VMware Inc. vmxnet3 Virtual Ethernet Controller
vusb0 Pseudo uether Up 1000Mbps Full a0:ce:c8:0a:2c:e3 1500 Realtek USB 101001000 LAN
vusb1 Pseudo uether Up 1000Mbps Full 00:00:7a:cd:54:59 1500 ASIX Elec. Corp. AX88179
更新履歴
- 2019/7/10 新規作成
- 2021/1/7 ESXi 7.0の環境に合わせて内容を更新
手持ちのLenovo M75q-1 TinyにRTL8153のUSB NICを接続し、ESXi7.0のインストールを試したところ、ESXi7.0が問題なくインストールできました。
返信削除今までESXi7.0を使うにはINTEL NICが実装されたPCでないと使えないと思っていたため、今回の情報は大変勉強になりました。
本記事がお役に立てて良かったです!
削除ESXi 7.0u2のインストールにて。
返信削除そのままではno network adapterなhp pavillion 15-egのノート(有線NIC無し。無線モデル)に、
tplink ue300(RTL8153)のUSB NICを刺してみたところ、自分の環境では変わらずno network adapterでESXiはインストール不可でした。
記事を参考にUSB Network Native Driverをバンドルしてisoインストールイメージを再構築したところ、無事にRTL8153が有線NICとして認識されインストールできました。ESXiにも1000Mbpsで認識されています。
RTL8153のUSB NICがESXi7.0のインストール時にで自動認識されるケースもあるようですが、自分の環境では違ったみたいです。記事、大変参考になりました。ありがとうございます。
情報ありがとうございます!自動認識しない組み合わせもあるんですね。
削除記事を参考にesxi8.02でもUGREEN製USB2.5G(RTL8156BG)LANアダプターが使えるようにできました、ありがとうございます!!!
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