vCenter Converter Standaloneとは
vCenter ConverterはVMwareが昔から無償で提供しているvSphere環境へのサーバー移行ツールとなり、P2VやV2Vで利用することができる。2018年5月時点の最新バージョンは6.2となり、ダウンロードは以下URLから可能となる。
ダウンロード VMware vCenter Converter Standalone 6.2
https://my.vmware.com/web/vmware/details?productId=701&downloadGroup=CONV62
vCenter Converter Standaloneの特徴は以下の通り。
- 無償で利用できる
- Windows PCまたはWindows Server製品にインストール可能
- 移行時は、変換元と変換先の両方にネットワーク接続できる必要がある
- WAN越しでのデータ移行はサポート対象外
- Hype-VおよびESXiを移行元に指定する場合は、仮想マシンが電源OFF状態のオフライン移行のみサポート
環境
今回はHyper-Vの仮想マシンをvSphere環境に移行する手順を確認してみた。環境は以下の通り。- 移行ツール:vCenter Converter Standalone 6.2
- 移行元:Hyper-V 2012 (R2なし) 上のWindows Server 2012 (R2なし)
- 移行先:vSphere ESXi 6.0 Update 3a
今回は同一セグメントでの接続をしているが、ネットワーク経路上にFirewallが存在する場合は、以下URLを参考に必要なポートの開放が必要となる。
必要な VMware vCenter Converter ポート (2078649)
https://kb.vmware.com/s/article/2078649
Hyper-V仮想マシンをvSphere環境に変換する手順
手順自体はウィザードに従って選択をしていくだけなので、それほど難しい手順ではない。1. vCenter Converter Standaloneの起動
通常はインストールするとデスクトップにショートカットがあるはずなので、ダブルクリックして起動する。2. 仮想マシン移行のウィザードを開始
画面左上の「Convert machine」を選択する。3. 移行元ホストの指定
Source Systemは「Hyper-V Server」を選択し、IPアドレス、ユーザー名、パスワードを入力する。Administrator権限を持つユーザーを指定しておけば問題ないだろう。4. 移行元ホストにエージェントをデプロイ
移行元のHyper-V環境にエージェントをデプロイするためのダイアログボックスが表示される。移行成功後に自動でエージェントをアンインストールするかどうかの設定となるので、今回は「I will manually uninstall the files later (後で手動でアンインストール)」を選択する。エージェントのデプロイが始まるのでしばらく待つ。
なお、デプロイ後に移行元のHyper-Vでプログラムの一覧を確認すると、「vCenter Converter Standalone Agent」がインストールされていることを確認できる。不要になった場合は、別途ここからアンインストールすればよい。
5. 移行対象仮想マシンの指定
エージェントのデプロイ完了後、Hyper-V上の仮想マシン一覧が表示される。移行対象のVMが「Powered off」になっていることを確認し、選択する。6. 移行先ホストの指定
Destination Systemでは、「VMware Infrastructure virtual machine」を選択し、IPアドレス、ユーザー名、パスワードを選択する。rootを選んでおけば問題ないだろう。7. 移行先ホストの確認
移行先のESXi上の仮想マシン一覧が表示される。仮想マシン名が重複する場合はエラーとなるため、重複しない名前で「Name」を設定する。8. 仮想マシンの各種設定
仮想マシン移行時の各種設定が行える。設定項目は以下の通り。- Data to coy : 移行対象のディスクとディスクタイプ(Thin、Thick)を設定できる
- Devices : CPUやメモリを設定できる
- Networks : NICの接続先ポートグループや仮想NICタイプを設定できる
- Services : 移行対象仮想マシンのWindowsサービスの自動起動設定を変更できる
- Advanced options : 移行対象仮想マシンの移行後の処理を設定できる。たとえば、移行後に仮想マシンを起動する、VMware Toolsをインストールする、といった設定ができる
- Throttling : 移行時に使用できるCPU優先度、ネットワーク帯域を設定できる
今回は、ディスクをデフォルトのThickからThinに変更して移行を行うことにした。
9. 仮想マシンの移行の開始と完了
移行が開始すると、Status欄に進捗状況が表示されるので、完了するまで待機する。問題なく移行が完了すると、Status欄にCompletedと表示される。
10. 移行直後のスナップショットを取得
このタイミングで一度仮想マシンのスナップショットを取得することを推奨する。というのも、移行後の仮想マシンの初回起動では、環境変更に伴うデバイスの再認識やドライバの更新が実施される。さらに、VMware Toolsの再インストールやNICの再設定も実施が必要となることから、万が一初期設定時に想定外事象が発生しても、移行直後の状態に戻せるようにしておくとリカバリが簡単になる。11. 仮想マシンの起動
移行対象のWindows Server 2012は、特に何事もなかったように起動した。12. 起動後の仮想マシンの設定
初回起動直後にデバイスマネージャーを確認すると、1つだけ認識に失敗しているデバイスが存在していた。こちらはVMware Toolsをインストールすることで解消した。また、ネットワークインターフェースの情報はすべてリセットされてしまうため、再度IPアドレス等の設定を実施する必要がある。
オンラインにすれば、ドライブレター含めて、正常に認識しなおしてくれた。
以上のように、そこまで難しい操作をすることなくHyper-VからvSphere環境への仮想マシン移行に成功した。同じような手順で物理サーバーのWindowsやLinuxからもvSphere環境の仮想マシンへ変換できるため、費用をかけずにP2VやV2Vを実施したい場合は、VMware vCenter Converter Standaloneの利用を検討するとよいだろう。
参考
VMware vCenter Converter Standalone 6.2 Release Noteshttps://docs.vmware.com/en/vCenter-Converter-Standalone/6.2/rn/conv_sa_62_rel_notes.html
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