近年は、HDDに代わり性能面、容量面でSSDの方が上回る時代となっている。たとえば、以下URLにあるように、
1本で15.36TBの容量を持ち32,000IOPSを発揮できるSSDがすでに市場に投入されている。
Samsung Introduces World’s Largest Capacity (15.36TB) SSD for Enterprise Storage Systems
https://news.samsung.com/global/samsung-now-introducing-worlds-largest-capacity-15-36tb-ssd-for-enterprise-storage-systems
一方、エンタープライズ向けに利用されるSASのHDDは、1本で高々1TB程度の容量しかなく、性能も150IOPS程度にとどまるのが現状だ。
このようなSSDとHDDの性能差は今後も広がることが想定されるため、
SSDは通常利用用途、HDDはNL SASやSATAの大容量HDDを利用したバックアップ・ログ等の安価なデータ保管用途といった棲み分けが進むと考えている。
さて、本題に入ろう。
上記のような状況もあるので、私個人としても最近はもAll Flashのストレージを提案するという案件が増加している。そこで、一度各メーカーが販売しているAll Flashストレージの性能比較をしてみたいと思い、インターネットを検索して情報をまとめてみることにした。
All FlashストレージのIOPSまとめ
以下がまとめた表となる。原則Read/Write混在の計測データを載せるようにしたかったが、なかなかそのような情報を見つけることが困難なストレージ製品もあり、そのような場合はReadのみの計測データを記載している。
したがって、計測方法に差もあることから、単純にこれだけでストレージ製品の性能比較をすることはできないので注意すること。
No | メーカー | 製品名 | IOPS | 計測条件 | 参考URL |
1 | IBM | V5030
(※参考) | 85,020 | 300GB 15krpm HDD x 240 RAID10
SPC-1 IOPS | リンク |
2 | HPE | MSA 2040 SSD | 29,000 | 200 GB SSD x 4 RAID5
Random 60%/40%RW | リンク |
3 | HPE | 3PAR StoreServ 8200 | 140,656 | 400GB SSD x 8 Raid5 (7+1)
80/20RW | リンク |
4 | HPE | 3PAR StoreServ 8400 | 140,656 | 400GB SSD x 8 Raid5 (7+1)
80/20RW | リンク |
5 | HPE | 3PAR StoreServ 8450 | 141,504 | 400GB SSD x 8 Raid5 (7+1)
80/20RW | リンク |
6 | HPE | 3PAR StoreServ 8440 4N | 545,164 | 400GB SSD x 32 Mirroring
SPC-1 IOPS | リンク |
7 | HPE | 3PAR StoreServ 8450 4N | 545,164 | 400GB SSD x 32 Mirroring
SPC-1 IOPS | リンク |
8 | IBM | V5030F | 145,000 | Maximum IOPS 4 KB cached off
Random 70%/30%RW | リンク |
9 | IBM | V7000F | 162,000 | Maximum IOPS 4 KB cached off
Random 70%/30%RW | リンク |
10 | IBM | A9000 | 500,000 | Random 70%/30%RW | リンク |
11 | DELL EMC | VMAX250F | 1,000,000 | 8K 100% read | リンク |
12 | DELL EMC | VMAX950F | 6,700,000 | 8K 100% read | リンク |
13 | DELL EMC | Unity 350F | 130,000 | 8K 100% read | リンク |
14 | DELL EMC | Unity 450F | 305,000 | 8K 100% read | リンク |
15 | DELL EMC | Unity 550F | 395,000 | 8K 100% read | リンク |
16 | DELL EMC | Unity 650F | 440,000 | 8K 100% read | リンク |
17 | NetApp | AFF A700s | 2,400,059 | 145GB SSD x 24 RAID-DP
SPC-1 IOPS | リンク |
18 | Pure Storage | FlashArray //m20 | 150,000 | 32K 100% read | リンク |
19 | Pure Storage | FlashArray //m50 | 220,000 | 32K 100% read | リンク |
20 | Pure Storage | FlashArray //m70 | 300,000 | 32K 100% read | リンク |
考察
HDDを利用したストレージについて(参考値として記載)
No1に記載しているIBM V5030はAll Flashストレージではなく、昔ながらのHDDを使ったストレージとなり、比較用の参考値として記載した。HDDの場合は、数万IOPSの性能を出すためには、
ディスクの本数を240本も導入しなければならないことがわかる。
HPEのストレージについて
No2はHPEのエントリークラスのストレージであり、SSDを利用しても性能が低い。そもそもSSDを使うなら、SSDの性能を発揮できるストレージを選ぶことが重要ということがわかる。
No3~7はHPEのミッドレンジクラスのストレージとなる。計測条件の違いもあるとは思うが、同じストレージでも性能にバラつきがある。HDDを利用した際と同様に、ディスク本数が多く、RAID1相当の構成の方が性能が高い傾向にあるようだ。
なお、3PARについては、実際に私個人でも性能計測したことがあり、SSD x 40本、RAID5の構成で、15万~20万IOPSの性能となった。
IBMのストレージについて
No8、9はIBMのミッドレンジクラスのストレージとなる。HPEの3PARと同程度の性能であることを考えると、ミッドレンジクラスのAll FlashストレージのRead/WriteのIO性能は、10~20万IOPSとして見込んでおくとよさそうだ。
DELL EMCのストレージについて
No11、12はDELL EMCのハイエンドクラスのストレージとなり、桁違いに速い。No13~16はミッドレンジクラスのストレージとなり、Readのみで数十万IOPSの性能となっていることから、Read、Writeが混在した環境においては、他メーカーと大きな性能差はないものと想定される。
NetAppのストレージについて
No17のNetAppは、NASを得意とするメーカーだけあって、FCだけでなくNFS、CIFSに対応したAll Flashストレージとなっている。ストレージのOSについても、NetAppのNASで培われてきたONTAPを利用する。
Pure Storageのストレージについて
No18~20は新興メーカーのPure StorageのAll Flashストレージ製品となる。なお、Pure StorageはAll Flashのみを販売するストレージメーカーとなる。他メーカーでは通常4Kや8Kなどの小さなブロックサイズでのスループット計測とするところを、Pure Storageでは32KのブロックサイズのIOPSを計測しており、そのような状況においても15万~30万IOPSの性能を発揮できることが売りとのこと。