Red Hat Enterprise Linux (以下、RHEL) は、商用使用する場合はサブスクリプションの購入が必要となるが、開発目的であれば「Red Hat Developer Subscription」と呼ばれるサブスクリプションを取得することで、無償利用することができた。
2020年12月に、このRed Hat Developer Subscriptionの利用規約に改正があり、開発環境だけでなく本番環境であっても、最大16台までRHELを使えるようになった。
- New Year, new Red Hat Enterprise Linux programs: Easier ways to access RHEL
- 個人開発者はRed Hat Enterprise Linuxを無料で最大16システムまで利用可能に、本番環境もOK。Red Hatが開発者向けプログラムの拡大を発表 - Publickey
最近、CentOSを使っていたためRHELを積極的に使うことはなかったのだが、16台を無償で使えるようになったことは魅力的ではあるので、再度「Red Hat Developer Subscription」を取得する手順を確認した。また、RHEL 8にてsubscription-manager
を使ってサブスクリプションの登録・登録解除の手順も確認した。
以下に確認した手順を記載する。
環境
- OS : RHEL 8.3
Red Hat Developer Subscription取得手順
1. Red Hat Developerのサイトにアクセス
まずは、以下のRed Hat Developerのサイトにアクセスする。
2. Red Hatアカウントの登録
ページ下部にある「Join Red Hat Developer」のボタンを選択して、アカウント登録を行う。
Red Hatアカウント作成時は、以下が必須項目となるので、入力後「アカウントを作成します。」のボタンを選択する。
- ユーザー名 : 任意の名前を指定。メールアドレスと同一でも可
- メールアドレス : メール確認が可能なアドレスを登録
- 職務内容 : 自身の職務に近い内容を選択。私はEngineerを選択した
- パスワード : 任意で設定
- 契約条件への同意チェック (2箇所)
登録したメールアドレスに確認用のメールが届いているはずなので、確認用リンクをクリックして、登録を完了させる。
3. Customer Portalのサイトにアクセス
サブスクリプションの確認は以下Customer Portalのサイトで確認できる。
ただし、初回は登録したアカウントの詳細情報を設定する必要があるため、「Update Your Account」の画面に遷移する。ここでは以下必須項目を入力する。
- Account Type : Personal
- Password : 再度パスワードを入力
- Confirm Password : 再度パスワードを入力
- Contact Information : 氏名や住所を入力
問題なく登録が終わると、以下のCustomer Portalが表示されるようになる。
4. サブスクリプションの確認
Customer Portalの「サブスクリプション」タブを選択すると、「Red Hat Developer Subscription」が表示され、「エンタイトルメントの使用率」を見ると「Available 16」と表示されており、本サブスクリプションで16台分の利用が可能であることを確認できる。
subscription-manager
を使ったサブスクリプション割り当て手順
1. 事前確認
サブスクリプション登録前後での動作確認をするため、まずはサブスクリプション登録前にdnf
が使えないことを確認する。
以下の通り、「This system is not registered to Red Hat Subscription Management. You can use subscription-manager to register.」のメッセージが表示されdnf
コマンドが失敗する。
# dnf check-update
Updating Subscription Management repositories.
Unable to read consumer identity
This system is not registered to Red Hat Subscription Management. You can use subscription-manager to register.
エラー: "/etc/yum.repos.d", "/etc/yum/repos.d", "/etc/distro.repos.d" には有効化されたリポジトリーがありません。
サブスクリプションの登録・確認・登録解除は、subscription-manager
コマンドで実施する。まずはsubscription-manager list
で登録前の状態を確認すると、状態が「不明」となっている。
# subscription-manager list
+-------------------------------------------+
インストール済み製品のステータス
+-------------------------------------------+
製品名: Red Hat Enterprise Linux for x86_64
製品 ID: 479
バージョン: 8.3
アーキテクチャー: x86_64
状態: 不明
状態の詳細:
開始:
終了:
2. Red Hatアカウントを登録
サブスクリプション登録の前に、対象のRed Hatアカウントの登録を行う必要がある。subscription-manager register
で以下の通りユーザ名、パスワードを入力して登録を行う。
# subscription-manager register --username='USERNAME' --password='PASSWORD'
登録中: subscription.rhsm.redhat.com:443/subscription
このシステムは、次の ID で登録されました: 12345678-XXXXXXXXXXXX
登録したシステム名: localhost.localdomain
subscription-manager list
で確認すると、状態が「サブスクライブなし」と変化する。
# subscription-manager list
+-------------------------------------------+
インストール済み製品のステータス
+-------------------------------------------+
製品名: Red Hat Enterprise Linux for x86_64
製品 ID: 479
バージョン: 8.3
アーキテクチャー: x86_64
状態: サブスクライブなし
状態の詳細: Not supported by a valid subscription.
開始:
終了:
3. プールIDを確認
次に登録対象のサブスクリプションを確認する。subscription-manager list --available
にてすべての利用可能なサブスクリプションが表示される。ここでは、「Red Hat Developer Subscription」が表示されることと、そのサブスクリプションのプールIDを確認しておく (★箇所)。
# subscription-manager list --available
+-------------------------------------------+
利用可能なサブスクリプション
+-------------------------------------------+
サブスクリプション名: Red Hat Developer Subscription ★
提供: dotNET on RHEL Beta (for RHEL Server)
Red Hat CodeReady Linux Builder for x86_64
~(中略)~
契約:
プール ID: XXXXXXXX ★
管理の提供: いいえ
数量: 16
推奨: 1
サービスタイプ:
ロール:
サービスレベル: Self-Support
使用方法:
アドオン:
サブスクリプションタイプ: Standard
開始: 2021年01月24日
終了: 2022年01月24日
エンタイトルメントタイプ: 物理
登録に必要な情報はプールIDとなるので、--pool-only
オプションを付与することで、表示を簡略化することもできる。
# subscription-manager list --available --pool-only
XXXXXXXX
4. サブスクリプションを登録
先ほど確認したプールIDを指定して、subscription-manager attach
にてサブスクリプションの登録を行う。
※subscription-manager subscribe
でもサブスクリプションの登録が可能だが、subscribe
は廃止予定のコマンドとなっているので、必ずattach
にて実施すること。
# subscription-manager attach --pool XXXXXXXX
サブスクリプションが正しく割り当てられました: Red Hat Developer Subscription
subscription-manager list
で確認すると、状態が「サブスクライブ済み」となっていれば問題ない。
# subscription-manager list
+-------------------------------------------+
インストール済み製品のステータス
+-------------------------------------------+
製品名: Red Hat Enterprise Linux for x86_64
製品 ID: 479
バージョン: 8.3
アーキテクチャー: x86_64
状態: サブスクライブ済み
状態の詳細:
開始: 2021年01月24日
終了: 2022年01月24日
5. 事後確認
この状態でRed HatのCustomer Portalのサイトの状態を確認すると、登録されていたシステムが表示されるようになる。
最後にdnf
によるパッケージの確認ができることを確認する。先ほどのエラーは表示されず、アップデート可能なパッケージ一覧が表示されていることがわかる。
# dnf check-update
Updating Subscription Management repositories.
Red Hat Enterprise Linux 8 for x86_64 - BaseOS 28 MB/s | 27 MB 00:00
Red Hat Enterprise Linux 8 for x86_64 - AppStre 20 MB/s | 25 MB 00:01
NetworkManager.x86_64 1:1.26.0-12.el8_3 rhel-8-for-x86_64-baseos-rpms
NetworkManager-libnm.x86_64
1:1.26.0-12.el8_3 rhel-8-for-x86_64-baseos-rpms
NetworkManager-team.x86_64
1:1.26.0-12.el8_3 rhel-8-for-x86_64-baseos-rpms
~(以下略)~
subscription-manager
を使ったサブスクリプション登録解除手順
1. サブスクリプションを登録解除
サブスクリプションの登録解除は、subscription-manager remove
にて実施する。
※subscription-manager unsubscribe
でもサブスクリプションの登録解除が可能だが、unsubscribe
は廃止予定のコマンドとなっているので、必ずremove
にて実施すること。
# subscription-manager remove --all
1 件のローカル証明書が削除されました。
サーバーで 1 件のサブスクリプションが削除されました。
2. Red Hatアカウントを登録解除
Red Hatアカウントの登録解除は、subscription-manager unregister
にて実施する。
# subscription-manager unregister
登録の解除中: subscription.rhsm.redhat.com:443/subscription
システムの登録は解除されました。
subscription-manager list
で確認すると、状態が「不明」の状態に戻っているはずだ。
# subscription-manager list
+-------------------------------------------+
インストール済み製品のステータス
+-------------------------------------------+
製品名: Red Hat Enterprise Linux for x86_64
製品 ID: 479
バージョン: 8.3
アーキテクチャー: x86_64
状態: 不明
状態の詳細:
開始:
終了:
3. 事後確認
この状態でRed HatのCustomer Portalのサイトの状態を確認すると、登録されていたシステムが削除され表示されなくなる。
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