2021年2月4日木曜日

Red Hat Developer Subscriptionを取得して、RHELをサブスクリプション登録・登録解除する方法

Red Hat Enterprise Linux (以下、RHEL) は、商用使用する場合はサブスクリプションの購入が必要となるが、開発目的であれば「Red Hat Developer Subscription」と呼ばれるサブスクリプションを取得することで、無償利用することができた。

2020年12月に、このRed Hat Developer Subscriptionの利用規約に改正があり、開発環境だけでなく本番環境であっても、最大16台までRHELを使えるようになった

最近、CentOSを使っていたためRHELを積極的に使うことはなかったのだが、16台を無償で使えるようになったことは魅力的ではあるので、再度「Red Hat Developer Subscription」を取得する手順を確認した。また、RHEL 8にてsubscription-managerを使ってサブスクリプションの登録・登録解除の手順も確認した

以下に確認した手順を記載する。

環境

  • OS : RHEL 8.3

Red Hat Developer Subscription取得手順

1. Red Hat Developerのサイトにアクセス

まずは、以下のRed Hat Developerのサイトにアクセスする。

2. Red Hatアカウントの登録

ページ下部にある「Join Red Hat Developer」のボタンを選択して、アカウント登録を行う。

Red Hatアカウント作成時は、以下が必須項目となるので、入力後「アカウントを作成します。」のボタンを選択する。

  • ユーザー名 : 任意の名前を指定。メールアドレスと同一でも可
  • メールアドレス : メール確認が可能なアドレスを登録
  • 職務内容 : 自身の職務に近い内容を選択。私はEngineerを選択した
  • パスワード : 任意で設定
  • 契約条件への同意チェック (2箇所)

登録したメールアドレスに確認用のメールが届いているはずなので、確認用リンクをクリックして、登録を完了させる。

3. Customer Portalのサイトにアクセス

サブスクリプションの確認は以下Customer Portalのサイトで確認できる。

ただし、初回は登録したアカウントの詳細情報を設定する必要があるため、「Update Your Account」の画面に遷移する。ここでは以下必須項目を入力する。

  • Account Type : Personal
  • Password : 再度パスワードを入力
  • Confirm Password : 再度パスワードを入力
  • Contact Information : 氏名や住所を入力


問題なく登録が終わると、以下のCustomer Portalが表示されるようになる。

4. サブスクリプションの確認

Customer Portalの「サブスクリプション」タブを選択すると、「Red Hat Developer Subscription」が表示され、「エンタイトルメントの使用率」を見ると「Available 16」と表示されており、本サブスクリプションで16台分の利用が可能であることを確認できる。

subscription-managerを使ったサブスクリプション割り当て手順

1. 事前確認

サブスクリプション登録前後での動作確認をするため、まずはサブスクリプション登録前にdnfが使えないことを確認する。

以下の通り、「This system is not registered to Red Hat Subscription Management. You can use subscription-manager to register.」のメッセージが表示されdnfコマンドが失敗する。

# dnf check-update
Updating Subscription Management repositories.
Unable to read consumer identity

This system is not registered to Red Hat Subscription Management. You can use subscription-manager to register.

エラー: "/etc/yum.repos.d", "/etc/yum/repos.d", "/etc/distro.repos.d" には有効化されたリポジトリーがありません。

サブスクリプションの登録・確認・登録解除は、subscription-managerコマンドで実施する。まずはsubscription-manager listで登録前の状態を確認すると、状態が「不明」となっている。

# subscription-manager list
+-------------------------------------------+
    インストール済み製品のステータス
+-------------------------------------------+
製品名:           Red Hat Enterprise Linux for x86_64
製品 ID:          479
バージョン:       8.3
アーキテクチャー: x86_64
状態:             不明
状態の詳細:
開始:
終了:

2. Red Hatアカウントを登録

サブスクリプション登録の前に、対象のRed Hatアカウントの登録を行う必要がある。subscription-manager registerで以下の通りユーザ名、パスワードを入力して登録を行う。

# subscription-manager register --username='USERNAME' --password='PASSWORD'
登録中: subscription.rhsm.redhat.com:443/subscription
このシステムは、次の ID で登録されました: 12345678-XXXXXXXXXXXX
登録したシステム名: localhost.localdomain

subscription-manager listで確認すると、状態が「サブスクライブなし」と変化する。

# subscription-manager list
+-------------------------------------------+
    インストール済み製品のステータス
+-------------------------------------------+
製品名:           Red Hat Enterprise Linux for x86_64
製品 ID:          479
バージョン:       8.3
アーキテクチャー: x86_64
状態:             サブスクライブなし
状態の詳細:       Not supported by a valid subscription.
開始:
終了:

3. プールIDを確認

次に登録対象のサブスクリプションを確認する。subscription-manager list --availableにてすべての利用可能なサブスクリプションが表示される。ここでは、「Red Hat Developer Subscription」が表示されることと、そのサブスクリプションのプールIDを確認しておく (★箇所)。

# subscription-manager list --available
+-------------------------------------------+
    利用可能なサブスクリプション
+-------------------------------------------+
サブスクリプション名:     Red Hat Developer Subscription ★
提供:                     dotNET on RHEL Beta (for RHEL Server)
                          Red Hat CodeReady Linux Builder for x86_64

~(中略)~

契約:
プール ID:                XXXXXXXX ★
管理の提供:               いいえ
数量:                     16
推奨:                     1
サービスタイプ:
ロール:
サービスレベル:           Self-Support
使用方法:
アドオン:
サブスクリプションタイプ: Standard
開始:                     2021年01月24日
終了:                     2022年01月24日
エンタイトルメントタイプ: 物理

登録に必要な情報はプールIDとなるので、--pool-onlyオプションを付与することで、表示を簡略化することもできる。

# subscription-manager list --available --pool-only
XXXXXXXX

4. サブスクリプションを登録

先ほど確認したプールIDを指定して、subscription-manager attachにてサブスクリプションの登録を行う。
subscription-manager subscribeでもサブスクリプションの登録が可能だが、subscribeは廃止予定のコマンドとなっているので、必ずattachにて実施すること。

# subscription-manager attach --pool XXXXXXXX
サブスクリプションが正しく割り当てられました: Red Hat Developer Subscription

subscription-manager listで確認すると、状態が「サブスクライブ済み」となっていれば問題ない。

# subscription-manager list
+-------------------------------------------+
    インストール済み製品のステータス
+-------------------------------------------+
製品名:           Red Hat Enterprise Linux for x86_64
製品 ID:          479
バージョン:       8.3
アーキテクチャー: x86_64
状態:             サブスクライブ済み
状態の詳細:
開始:             2021年01月24日
終了:             2022年01月24日

5. 事後確認

この状態でRed HatのCustomer Portalのサイトの状態を確認すると、登録されていたシステムが表示されるようになる。

最後にdnfによるパッケージの確認ができることを確認する。先ほどのエラーは表示されず、アップデート可能なパッケージ一覧が表示されていることがわかる。

# dnf check-update
Updating Subscription Management repositories.
Red Hat Enterprise Linux 8 for x86_64 - BaseOS   28 MB/s |  27 MB     00:00
Red Hat Enterprise Linux 8 for x86_64 - AppStre  20 MB/s |  25 MB     00:01

NetworkManager.x86_64     1:1.26.0-12.el8_3        rhel-8-for-x86_64-baseos-rpms
NetworkManager-libnm.x86_64
                          1:1.26.0-12.el8_3        rhel-8-for-x86_64-baseos-rpms
NetworkManager-team.x86_64
                          1:1.26.0-12.el8_3        rhel-8-for-x86_64-baseos-rpms

~(以下略)~

subscription-managerを使ったサブスクリプション登録解除手順

1. サブスクリプションを登録解除

サブスクリプションの登録解除は、subscription-manager removeにて実施する。
subscription-manager unsubscribeでもサブスクリプションの登録解除が可能だが、unsubscribeは廃止予定のコマンドとなっているので、必ずremoveにて実施すること。

# subscription-manager remove --all
1 件のローカル証明書が削除されました。
サーバーで 1 件のサブスクリプションが削除されました。

2. Red Hatアカウントを登録解除

Red Hatアカウントの登録解除は、subscription-manager unregisterにて実施する。

# subscription-manager unregister
登録の解除中: subscription.rhsm.redhat.com:443/subscription
システムの登録は解除されました。

subscription-manager listで確認すると、状態が「不明」の状態に戻っているはずだ。

# subscription-manager list
+-------------------------------------------+
    インストール済み製品のステータス
+-------------------------------------------+
製品名:           Red Hat Enterprise Linux for x86_64
製品 ID:          479
バージョン:       8.3
アーキテクチャー: x86_64
状態:             不明
状態の詳細:
開始:
終了:

3. 事後確認

この状態でRed HatのCustomer Portalのサイトの状態を確認すると、登録されていたシステムが削除され表示されなくなる。

参考

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